下水処理施設・浄水場等の排水処理と事例
処理水は、消毒して公共用水域に放流されるか工業用水等の雑用水として再利用されます。
川や海などの水環境を守るために、下水処理場は適正に水質が管理されなければなりません。私たちには、水や下水道を正しく使って下水道管や下水処理場の負担を減らして、水環境を守る大切な役割があります。
2006年度時点でわが国には約2000箇所の下水処理場が稼働し、年間処理量は約141億トン(東京ドームの約11,320杯分に相当)と言われます(日本下水道協会資料より)。
下水道処理場は雨水と汚水の浄化を主な目的として建設・運営されており、浄化とは主に下水中の有機物を除去する工程をいい、手段として物理的、生物的処理が行われます。
下水処理施設・浄水場等の排水処理の方法
【汚水】
汚水としては、水洗式便所からのし尿や、家庭における調理・洗濯で生じる生活排水と、商店やホテル・町工場から大工場にいたる事業場からの産業排水(耕作は除く)などがあります。
【処理水】
物理的処理としては下水中の沈殿性有機物を分離・除去する沈殿池や浮上、ろ過などの物理的作用による処理工程が行われます。
また、生物的処理は下水中の溶解・浮遊性有機物を培養した微生物の餌とすることで水と炭酸ガス等に酸化分解する方式で、活性汚泥法が代表的です。ほとんどの処理場の二次処理工程として行われています。
【水資源】
このほか化学的処理として放流水の消毒などが行われて、最終的に放流されます。
処理工程を経て浄化された処理水は、消毒して公共用水域に放流されるか工業用水等の雑用水として再利用されます。大都市では地下水源の利用が難しく、表流水より水質で勝る高度処理水は重要な水資源となっています。そのほか河川維持、修景、防火、消雪、かんがい、などに利用されます。
【薬品の使用事例】
※汚水の浄化過程では大量の有機性汚泥が発生するので、これを衛生的に減量し処分するために汚泥処理工程が必要になります。濃縮汚泥は一般に水分が95%以上を占める泥水状で、これを脱水して水分を85%以下に減量する方法が行われています。
※脱水は、濃縮汚泥にフロックを形成させたのち、遠心力や、ろ過・圧搾力などを利用した脱水機で水分を分離して行われます。使用される薬品は、無機凝結剤と高分子凝集剤で、脱水機に適したフロックを形成するため、適切な薬剤と濃度を選んで添加することが重要です。