畜産等の排水処理と事例
「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成16年11月)の施行以降、家畜ふん尿処理のための施設整備が進んでいます。
地域毎に畜産環境対策に取り組みを進めている場合も多く、豚舎排水だけではなく、牛舎排水への取り組みも進んでいます。
【牛舎排水】
従来、コストも勘案して簡易処理しかされない場合がありました。
しかし、排水量の多い牛舎排水ではタンパク質や脂肪分が多く、地下浸透処理の限界を超えているなど課題があったことから、河川への汚染が心配される場合もありました。最近では牛舎排水を浄化槽へ流入させ、ばっ気槽でエアレーションを行うなどの排水処理も検討されています。
【豚舎排水】
畜産系廃水は有機物が多く、これまでは分離した汚泥を脱水した後に堆肥化されていました。しかし、臭気や堆肥の余剰問題から産業廃棄物として処理している場合も多くありました。
現在、処理設備によって豚舎から排出される家畜ふん尿のうち、ふんについては、戻し堆肥で調整して堆肥化し、一方、尿などの廃水は活性汚泥処理してから上澄水を放流しています。
尿や場内水の廃水は、曝気、沈殿、脱水機で絞って固液分離し、脱水固形分は堆肥舎で堆肥化します。
畜産等の排水処理の方法
一般的に豚の成長促進などを目的として飼料に亜鉛および銅が添加されているため、排水中にそれらが排泄される課題があります。
今後は凝集や膜処理などで浮遊物質濃度をさらに低減して、全亜鉛および全銅濃度の低減化を図る必要があり、より効率の高い凝集剤が求められています。